「看護師が前残業をするのは当たり前? 」「前残業した際に残業代は出るの? 」「残業が多くて毎日疲れがとれない」と悩んでいませんか?
サービス残業によるタダ働き、残業による心身の負担など、多くの看護師が残業時間に関する悩みを抱えながら仕事をしています。
「就業している求職者の退職したい理由」でも上位に上がっています。
この記事では、看護師の平均残業時間、残業が多い理由、残業を減らす方法などをご紹介します。
看護師の残業時間の現状とは?
こんにちは、先輩。最近、残業が多くて疲れてしまっています。先輩はどうですか?
そうね〜最近は残業が多いわよね。看護師の残業時間は一般の会社より長い方だと思います。私たちは患者さんのために働いていますから、残業があっても仕方がありません。
そうですか。でも、疲れがたまってしまって、体調を崩してしまうこともあるんじゃないかと心配になります。
そうね。でも、看護師として働く以上、患者さんのために尽力することが大切です。そのためには、残業があっても頑張らなければいけません。
という感じで諭されることが多ですが…
でも、残業時間を減らして早く帰れる方法はないのかしら?
看護師が残業が増える理由とは?
先輩、なんで看護師って残業が多いんですか?
そうね、患者さんの状態が急変したり、医師からの指示が変更になったりすると、急に残業が増えることがあるよ。
そうなんですね。でも、残業を減らす方法ってないんですか?
患者さんに必要な処置やケアをきちんと行うことが最優先だから、そう簡単には減らせないんだよ。でも、日々の業務を効率化することで、少しでも残業時間を減らすようにしているよ。
勤務形態が違う人への引継ぎ
総合病院や大学病院などの入院施設では夜勤・日勤の勤務形態があり、24時間体制で患者さんのケアを行っていますが、そのためには交代制で勤務をしています。
勤務形態が異なる看護師同士で引継ぎを行うことが必要であり、この引継ぎの時間が長引くことがあるため、残業が増えることがあります。
残業時間が増えると、看護師自身のストレスや身体的負担が増し、健康被害を引き起こす可能性があります。また、残業が続くことで、プライベートな時間が減少し、ストレスがたまることもあります。
より効率的な引継ぎ方法を考え、残業時間を減らすことが、看護師の健康維持やストレス管理につながります。

看護記録作成などの事務作業
看護師は、患者さんのケアや治療を行うだけでなく、看護の内容や過程を看護記録として残す義務があります。
このような事務作業は非常に重要であり、正確かつ詳細な情報を提供することが求められます。しかしながら、事務作業は時間がかかり、勤務時間内に完了できないことがあるため、残業が発生することがあります。
また、患者さんの状態が急変した場合には、その情報を適切に伝えるためのドキュメント作成が急がれることもあり、残業時間が増えることがあります。

研修や会議、勉強会
看護師は、常に最新の医療知識や技術を学ぶ必要があります。そのため、研修や会議、勉強会に参加することが求められます。
本来であれば業務時間内におこなうべきものですが、業務の都合で勤務時間外に開かざるを得ないケースが多いのです。
また、勉強会は看護師自身のスキルアップにつながるため、積極的に参加したいという思いもあるため、自発的に残業をすることもあります。

急患や容体急変などの対応
看護師は、患者さんの健康管理や治療を行う上で、常に態勢を整えておく必要があります。
しかし、急患や容体急変などが発生すると、多くの看護師が一斉に対応する必要があり、残業が発生することがあります。
また、急患や容体急変は、予測が難しいため、残業が予想以上に長引くこともあります。

人手不足
現在、医療現場では看護師不足が深刻化しており、多くの病院や施設が人手不足に悩んでいます。
そのため、業務が多忙になり、残業が発生することがあります。
また、患者の高齢化・重症化などの影響もあり、1人あたりの業務量が増加しています。業務が勤務時間内に終わらなくなれば、当然残業時間も多くなるでしょう。

看護師の残業が多い科や部署はどこ?
こちらでは病院内で残業が多く発生している部署や科を解説します。入院患者数や時季、職場によって異なるため、参考程度にご覧ください。
脳神経外科
脳神経外科では、脳や神経に関する手術や治療を行うため、高度な技術と知識が求められます。また、手術や治療の前後には、患者さんの状態を詳細に把握し、細やかなケアが必要とされます。
このため、脳神経外科に勤務する看護師は、精神面などの負担が大きいです。また、手術や治療の時間や予想外の合併症などによって、残業が発生することがあります。
さらに、脳神経外科では、容体の急変が発生することが多いため、看護師の対応が即座に求められることがあり、残業が増えることもあります。
循環器内科
循環器内科では、心臓や血管に関する疾患の治療を行います。心臓や血管には、体の中でも特に重要な役割を担っており、治療には高度な技術や知識が必要です。
また、心臓や血管には、容体の急変が発生しやすいため、看護師の対応が迅速かつ正確に求められます。
さらに、循環器内科では、検査や手術の前後に、患者さんの状態を詳細に把握し、ケアを行う必要があります。これらの負荷が高い業務や、容体の急変による緊急対応などによって、残業が発生することがあります。
急性期病棟
急性期病棟では、急性期の疾患や外傷の治療を行います。病気や外傷の治療には、時間的な制約があり、治療の為に多くの看護師が必要となります。
また、患者さんの容体が急変した場合、緊急対応が求められることがあり、看護師の負担が大きくなります。
さらに、急性期病棟では、入院患者数が急激に増加することがあるため、看護師の業務量が増加することがあります。これらの理由によって、急性期病棟での残業が発生することがあります。
産婦人科
産婦人科では、妊婦さんや新生児のケアを行います。妊娠や出産は、母体や胎児の健康に大きく影響するため、細やかなケアが求められます。
また、産婦人科では、いつ緊急の対応が必要になるかわからないため、看護師の負荷が高くなることがあります。
さらに、出産時期が集中することがあるため、急患や予定外の入院が多発することがあります。これらの理由により、産婦人科での残業が発生することがあります。
残業時間が多いとどんな問題があるのか?
先輩、残業って大変ですよね。でも、どんな問題があるか知りたいんです。
そうね。残業時間が多いと、身体的・精神的な健康に影響を与えることがあります。ストレスや疲れが蓄積されるんですよ。
それは大変ですね。他にはどんな問題がありますか?
仕事とプライベートのバランスが崩れ、家族や友人との交流や趣味の時間などが減少することもあります。長期的に続くと、モチベーションの低下や仕事への取り組み方に悪影響が出るかもしれませんね。
健康に影響
過剰な残業は、睡眠不足やストレスなどの要因となり、健康に悪影響を与えることがあります。睡眠不足により、免疫力が低下し、病気にかかりやすくなることがあります。
また、ストレスにより、自律神経が乱れ、血圧や心拍数の上昇、頭痛や肩こりなどの身体的な不調が発生することがあります。
さらに、運動不足や栄養バランスの偏りにより、肥満や生活習慣病のリスクが高まることもあります。これらの健康問題は、長期的に見ると、職場における生産性の低下や、休職や退職につながることもあります。

プライベートに影響
残業時間が多いと、プライベートにも様々な影響が出てきます。長時間労働により、家族や友人との時間が削られ、家庭生活や人間関係に悪影響がでます。
また、疲労やストレスにより、趣味やスポーツなどのレジャータイムを確保できなくなり、精神的なストレスがたまります。
さらに、長時間労働により、健康を損なうこともあります。疲れがたまり、身体に負荷がかかることで、病気にかかりやすくなったり、怪我をしやすくなったりします。

モチベーションの低下
長時間労働やストレスにより、仕事に対するモチベーションが下がり、やる気が出なくなることがあります。
また、残業が当たり前の環境では、仕事に対する意欲が低下し、業務の質が低下することがあります。さらに、適正な労働時間や業務負荷の設定がなされていない場合、仕事のやりがいや達成感を感じることができず、モチベーションが低下することがあります。

看護師が残業を減らすためにできる5つのこと
あの、先輩、残業なんか減らす方法ってあるんですか?
ああ、そうだね。まずは、日々のタスクをこなすために、自分自身のスケジュール管理をしっかりすることが大事だよ。
スケジュール管理ですね。他にはありますか?
あとは、仕事中にストレスを感じたときは、ちょっと休憩することも大切だよ。ストレッチや深呼吸をしたり、外に出て少し歩いたりするとリフレッシュできるから、試してみて。
なるほど、休憩も大事ですね。
仕事が終わったら、しっかりとリラックスすることも忘れずに。マッサージや、好きな本を読んだりするのもいいわよ!
1. 業務改善を試みる
看護師が残業を減らすためには、業務改善を試みることが有効です。例えば、看護師同士で情報共有をしっかりと行い、連携を図ることで業務の効率化が期待できます。
1つ1つの業務も、時間管理を徹底することで残業時間の削減につながります。とくに新人看護師は看護技術やスキル不足で業務に時間がかかりがちになるため、注射、点滴などの基本的な技術を素早くできるようにしてみましょう。

2. 効率の良い先輩を真似する
看護師が残業を減らすためにできることは、効率の良い先輩を真似することです。
先輩がどのようにタスクを処理し、どのように時間管理を行っているかを観察し、それを自分の仕事に取り入れることで、作業の効率化やストレスの軽減につながります。
実践できることがあればどんどん真似して、ご自身の業務にも活かしましょう。

3. ほかの看護師と協力する
残業を減らすためにできることは、ほかの看護師と協力することです。例えば、チーム内でタスクを分担することや、業務の優先順位を共有することで、効率的な仕事の進め方ができます。
また、仕事の手際が良い先輩や上司にアドバイスを求めたり、意見交換をすることで、仕事の改善点を共有することも大切です。さらに、部署内のコミュニケーションを活発にし、情報共有を行うことで、残業の原因となるミスやトラブルを未然に防ぐことができます。
また、一人で業務を抱え込みすぎてパンクしそうになったら、時にはほかの看護師にヘルプを求めることも重要です。ただし、ほかの看護師も自分と同じく多忙であることを忘れてはいけません。手伝ってもらった際には、しっかりと感謝を伝えるようにしましょう。

4. 看護主任など現場のリーダーに相談する
看護主任や先輩など、頼れる人が周りにいる場合には、残業についての悩みを打ち明け、相談してみましょう。残業が減らない背景には、病院のシステムそのものが関与している場合も少なくありません。
そういった場合には決定権限のある上司に相談することで、根本的な解決につながる可能性があります。

5. 残業の少ない職場に転職する
看護師が残業を減らすためにできることは、残業の少ない職場に転職することです。残業の多い職場で働いていると、ストレスがたまり、体調を崩してしまうこともあります。
そこで、残業が少なく、働きやすい職場に転職することで、仕事とプライベートのバランスをとることができます。また、職場の風土や人間関係にも配慮し、自分に合った職場を選ぶことが重要です。
入院施設のないクリニックやデイケアなどは夜勤がなく、急患対応もほぼないため、比較的残業が少なくなっています。

残業が少ないといわれる科や部署に異動するのもアリ
最近、残業が多くて疲れてしまいます。ベテランさんはどうやって残業を減らしているんですか?
私は、優先順位をつけたり、業務の効率化を心がけているよ。でも、もう一つの方法として、残業が少ないといわれる科や部署に異動することもアリかも…
そうなんですね!いいこと聞きました。
でも、どの科や部署が残業が少ないんですか?
一概には言えないけど、一般病棟よりも、リハビリ科や病棟外来、手術室などは比較的残業が少ない傾向があります。
ただし、その科や部署でも忙しい時期はあるので、転職する際にはよく調べることが大切です!
精神科
精神科は急患や急な手術が少ない分、残業も少ないようです。しかし、残業が少ないため、職場によっては時間外手当がつかず、給料が低いと感じる方もいるかもしれません。ただ、精神科認定看護師や臨床心理士などの資格を取得して、手当を支給してもらい、給料アップを目指すことも可能です。
皮膚科
皮膚科は、急患が発生することもほとんどないため、残業は少なめです。外来や通院による治療などの業務がメインで、基本日勤のみ。そのため、プライベート重視して働きたい方や育児と仕事の両立を図りたい方におすすめです。
泌尿器科
泌尿器科クリニックであれば、日勤のみの働き方ができるほか、外来診療がメインのため残業が発生することも少ないでしょう。皮膚科と同様、家庭や育児、プライベートと仕事を両立しやすいはずです。
耳鼻科
耳鼻科は時期やクリニックによって、忙しくなることもありますが、残業は少なめです。業務もルーティンワークがメインなので、業務面で負担を感じることはほとんどないでしょう。
慢性期病棟
慢性期病棟は、急な入院や急変が少なく、残業も少ないため、ライフスタイルにあわせて働けます。また、長期入院される患者さんが多いことから、患者さん一人ひとりとじっくりと関われます。
回復期リハビリテーション病棟
回復期リハビリテーション病棟は、急患対応がないため残業は少ない傾向にあります。しかし、職場によって、業務時間外に勉強会や研修等を行っているところもあるようなので、事前に調べておく必要があります。
まとめ
看護師が抱える残業に関する悩みについて、人手不足や病院の規模によって原因が異なります。
しかし、仕事のスキルアップやタスクの優先順位の見直し、チーム内でのタスク分担や情報共有、休憩時間の確保など、自分でできることで残業を減らすことができます。
また、残業が少ないといわれる科や部署に異動することも一つの方法ですが、異動先にも忙しい時期があるため慎重に検討する必要があります。
自分に合った働き方を見つけることが大切です。看護師同士で協力し、残業を減らすためにがんばりましょう。